統計’s Vol.005

「NEB」見落としていた恩恵

室温16℃未満は、呼吸器系疾患に影響。室温9〜12℃においては、血圧上昇、心臓疾患のリスク。室温5℃以下は、低体温症を起こすリスク…。なかなかインパクトのある言葉です。これは英国保健省が発表した「低い室温がもたらす健康障害における指針」なるもの。文明開化の早かった英国は、古くから高齢化社会であるため社会保障費の増加が問題視されてきました。そこで疾患に対して受け入れる医療とは別の観点で、疾患に陥るメカニズムを解明して社会保障費の軽減に役立てようと調査を実施。するとある項目に共通する人に限り、医療費の負担が大きいことが判明。それは「家の中が寒かった」ということ。以後、英国では上記のような具体的指針を打ち出し、推奨室温は21℃ですよ!と呼びかけて社会保障費の軽減に繋げているとか。暮らしの一環が思わぬところで社会と密接な関係にあるなんて正直、驚きます。でも健康へのリスクを伝えられると「家のことをもっとよく考えなければ」という思いになることでしょう。その思いこそ、「NEB」と言えます。NEB:Non-Energy Benefits(ノンエナジー ベネフィッツ)ベネフィットのほうが言いやすそうですが、そう呼ぶそうです。間接的便益という意味なのですが、分かりにくい…。では下記にてご説明します。

住宅を建てる際、初期投資を増やして断熱性能を向上させることは、これまで環境負荷軽減や光熱費削減などが主なメリットでした。これをEB:Energy Benefits(エナジー ベネフィッツ)直接的便益(恩恵)と言います。しかし、これだけでは投資回収に長期間を必要とするため、住宅の高断熱化を後押しするほどのメリットとしては不十分なのが現状。そこへ高断熱化で室温が改善されたことによる疾患などの予防や健康を維持するという、省エネルギー以外の間接的便益(恩恵)を、NEB:Non-Energy Benefits(ノンエナジー ベネフィッツ)と言うそうです。高断熱住宅に暮らすということは、単なる省エネや燃費のためだけではなく、見落としていた健康という恩恵も得ることができるのです。現在、日本でも名門大学の皆様がNEBを明確化するため調査・研究が進められています。いま高断熱住宅を建てたとしても、近いうちに明確化された恩恵を見てきっと建ててよかったと思えることでしょう。

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