昨今の住宅事情は、省エネ・創エネなどのエコに関するキーワードを背景に高断熱化が進んでいます。一方で冷暖房をするシステムの選択肢は少ないのが現状です。暖房のみ使える機器がほとんどで、冷暖房両方使える主流の機器はエアコンとなります。エアコンの最大の特徴は無断熱の住宅でも一部屋締め切れば、冷暖房が出来るという点です。それは、冷やされた冷気を継続して送り続けることが出来るからです。また、各部屋の畳数に合せ機器を選び1台1台設置していることが一般的なため、体感温度の違いや負荷の大小により各部屋で利用者が調整しています。しかし、空気をコントロールすることにより塵が舞い、経年使用によるエアコン内部の不衛生な環境から送られる空気を利用者は吸い込んでいるのも現状です。それに対して、クール暖は冷暖房を両方利用でき、外部に設置された1台の機器で建物全体を冷暖房できるため、省エネで建物の美観を損ねません。また、空気をコントロールしているのではなく、熱の移動により冷暖房しているので空気を汚さず、クリーンで最も自然な形の冷暖房と言えるでしょう。省エネ・創エネはしっかりとした基本性能の上で、成り立つものです。建物の高性能化に合せ、冷暖房システムも見直す時期が来ているのかもしれません。

暖かくなるしくみ

クール暖はヒートポンプ技術を用い、夏は冷水、冬は温水を作り出して室内に設置されたパネルへ送水して冷暖房をしています。ヒートポンプという高効率の機器を使いながらも、精製された水をパネルへ循環しているだけのシンプルな構造と言えます。しかし、世界初の樹脂製パネルには驚くべき性能の発見がありました。それは、遠赤外線の放射率。セラミックと同等の高い放射率を持っていたのです。これまでの金属製パネルは、樹脂製パネルの7.2%ほどの放射率で留まっている点でも、いかに優れた能力を持っていることが分かります。つまり、パネルにあたたかい温水が流れているだけではなく、同時に高い遠赤外線を放射し続けているため、物体を暖め、人体を暖めているのです。

涼しくなるしくみ

熱は光と同じように、真空の中や空気中を伝播することができます。このように、光と同じように熱が伝わることを熱ふく射といいます。例えば真夏に、洞窟の中に入るとひんやりとした気持ちよい涼しさを感じます。これは身体の熱が温度の低い洞窟内の壁に放出され、「熱を奪われた」ために涼しさを感じる現象で、同じくふく射の効果です。空気を媒体とせず熱が伝わる現象で、温度が高いところから低いところへ熱の移動が起こるのです。つまり、パネルに冷たい冷水が流れているだけではなく、様々な物体の熱を奪い、同時にパネルや冷やされた物体が身体の熱を「奪う」ため涼しくなるのです。

熱の伝わり方には、対流・伝導・ふく射の3つの方法があります。以前はふく射の果たす大きな役割に気付かれていませんでした。現在では、全ての熱移動を100とした場合、ふく射による移動は75%を占める(対流15%、伝導10%)というのが諸研究機関の統一見解となっています。


「クール暖」とエアコンなどの熱の伝わり方の違い

エアコン暖房の場合
クール暖の場合

家を建てる前に考えるべきこと

体感温度は人によってそれぞれ異なるものです。よく聞くのが、家を建てた後の体感と建てる前に住んでいた住まいとの体感の差です。新しい家に住む前まで暮らしていた環境はどのようなものだったでしょうか?家を建てるということは、平均的な大きさから比較すると借家なら約1.5倍、アパートなら約2倍の大きさの空間に同じ人数の家族が暮らすことになります。また、アパートやマンションの場合、住んでいたポジションによっても環境は異なります。例えば、蜂の巣でイメージするならば真ん中は上下左右隣り合っていて、外と面しているのは前と後ろしかありません。そのような場合、隣り合っているところが断熱材の代わりとなり良好な環境を生み出している場合があります。しかし、端になればなるほどその恩恵を受けることは少なくなります。家を建てる前に考えるべきことは、今暮らしている環境との対比です。もともと暮らしていた環境がものすごく暑くて寒い生活だったならば、現代の住宅性能に歓喜・感動するかもしれません。しかし、良好な環境に暮らしていた場合、一軒家は隣り合うものが何も無いため、1.5倍や2倍の規模の空間をもとの暮らしと同等、若しくはそれ以上の環境にしなければなりません。それを、断熱材に頼るか、冷暖房システムに頼るか、そもそもの大きさを見直すかという結論になります。省エネ住宅主流の現代。見直す必要性があるものはそれぞれ違うかもしれません。しかし、全てをバランスよく少しずつ見直すことが、最適な住宅を築くことが出来る秘策かもしれません。

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