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読みもの

住宅会社と人気ケーキ店の「美味しい関係」①

ameterraceに「le port(ルポール)」がある理由

ameterrace正面に店舗を構えるle portの様子。タナカホームを知らない人なら「人気のケーキ屋さん」だと思うのでは

「ここって、ケーキ屋さんなんですか?」

2025年11月にオープンしたタナカホームの新社屋「ameterrace(アメテラス)」を訪れた方から、そんな声をいただくことがあります。そう思う方がいても無理はありません。ameterraceの道路側、いわば「顔」とも言える場所……そこには、三股町で8年間にわたり営業してきた人気ケーキ店「le port(ルポール)」にお店を構えていただいているからです。知らずに通った人たちや、le portのファンのみなさんからすれば、建物の本体が住宅会社だなんて想像もつきませんよね。

「住宅会社と人気ケーキ店」

一見すると少し不思議な組み合わせですが、実はこの関係には、タナカホームらしい場づくりの考え方と物語が詰まっています。

はじまりは「お施主さま」としてのご縁から

le portとタナカホームとの関係は、家づくりからはじまったものでした。

店主のYさまご夫妻は、タナカホームでご自宅を建ててくださったお施主さま。そのとき担当していたのが、私、社長の田中だったんです。当時、三股町で営業していたle portは、決してアクセスがいいとは言えない立地だったにもかかわらず連日完売の人気店でした。ところが、当時の私は家づくりにのめり込むあまり、Yさまがケーキ店を営んでいることをほとんど意識していませんでした(もちろんスタッフは知っていましたが)。

最初から「ケーキ屋さん」と決めていたわけではなかった

三股町時代のle port。平日でも行列ができる人気のケーキ店でした

ameterraceを計画するにあたり、タナカホームにはひとつの想いがありました。それは、「単なるオフィスではなく、地域の人が自然と足を運びたくなる場所にしたい」というもの。

新しい街並みをつくること。人を惹きつける建築にすること。そして、パッシブハウスという快適な建物の中で、オフィスワーク以外の人たちが働いたときに、どんな変化が生まれるのかを見てみたい。

そんなことを考えながら、当初は飲食店、定食屋さん、カフェ、コーヒー屋さん、パン屋さんなど、さまざまな誘致のアイデアを出していました。ただ、タイミングはコロナ禍の後半。飲食店にとっても、新しい一手を打つには勇気がいる時期で、誘致は難航していました。

「どこも入らないなら社員同士でランチをつくるオープンキッチンでもいいかな」などと思っていた矢先、スタッフから名前が挙がったのが、Yさまでした。

「え?Yさまってケーキ屋さんだったの!?」
「社長、知らなかったんですか!?」

そんな会話から、私は改めてle portというお店の存在を知ることになります。そして実際にお店を訪れ、話を聞き、Yさまがつくったケーキを食べる中で、少しずつ考えが変わっていきました。

「ケーキ」と「住宅」に共通するものとは

私が驚いたのは、le portのケーキが「連日売り切れる」という事実でした。パン屋さんでパンが売り切れる話は珍しくないかも知れませんが、それがケーキ屋さんとなると、よほどの魅力がなければ起こりにくいことですよね。しかも、le portのケーキは「安いから売れる」のではありません。地域の感覚で見れば決して安価な商品ではない。それでも多くのお客さまが足を運び、毎日のように売り切れてしまう。(因みにameterraceのオープニングイベントでも初日から完売していました)

le portには、「ここで買いたい」と思わせる力があるのだと感じました。それに、ケーキって、パンやお弁当と違って、日々の食事として空腹を満たす類いのものじゃない、ちょっと特別な存在なんですよね。誕生日、記念日、家族へのお土産……自分以外の誰かのことを思って買うことも多い。ケーキを買う人の先には、多くの場合、大切な誰かの笑顔がある。

その感覚はタナカホームの家づくりにも通じるものがありました。家を建てることもまた、単に自分のためだけではありません。家族のために、子どものために、これからの時間のために、少し背伸びをしてでも大切な選択をする。私はそこに強く共感するようになりました。

le portをameterraceの顔にしたい

こうして、le portの入居を進めることになり、私はameterraceの設計を担当する森みわさんに対して「le portをameterraceの顔にしたい。タナカホームは奥にあればいい」という要望を伝えました。

こうして、住宅会社の社屋でありながら、「人を迎えるのはケーキ屋さん」というameterrace独自の店構えが生まれました。

これは単なるテナント誘致ではなく、タナカホームが考える「地域に開かれた場」の象徴でもあります。

ケーキを買いに来た人が庭を歩く。ベンチに座る。建物を見渡す。「ここは何だろう?」と思う。そして、いつの間にかパッシブハウスの空気や、タナカホームの考え方に触れていく……そんな自然な出会いが、ここでは日々生まれています。

1日100組以上が訪れる場所へ

le portが入居したことで、ameterraceには大きな変化が起きました。それは訪れる人の数。今では1日100組以上が訪れる場所になっています。

もちろん、le portを広告塔にしようなどという気持ちは微塵もありませんでしたし、そのほとんどは、le portの美味しいケーキやお菓子がお目当てですが、本来、「家づくり」という目的を持った限られたお客さまだけが訪れる住宅会社の建物に、それだけの数の人たちが気軽に立ち寄るようになるという状況は、驚くべきことだと思います。

住宅会社にとって、広告やイベントを仕掛けて1日100組の来場を生み出すことは簡単ではありません。でも、le portの美味しいケーキの力でそれが実現できている。しかも、そこに集まるお客さまは、「安いから買う」のではなく、「大切な人に喜んでほしい」「美味しいものを選びたい」という気持ちで訪れている。つまり、タナカホームが大切にしたい価値観と、近い感覚を持つ人たちとの接点が生まれている。この価値はなにものにも代えがたいと感じています。

実際、ありがたいことにle portのレジ前に置かれたタナカホームのパンフレットから興味を持っていただき、新たな家づくりがはじまる……というケースも増えてきているんです。