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資材・光熱費高騰…こんな時代だからこそ理解しておきたい家と暮らしのコストの話

世界の出来事が、宮崎の家づくりにもつながっている
ここ最近、ニュースを見ていると毎日のように中東情勢に関する話題を耳にします。とは言え、遠く離れた中東での出来事……宮崎での暮らしとはあまり関係がないように思えるかも知れません。しかし、石油や天然ガスを海外からの輸入に頼る日本にとって、中東情勢の不安定な状況は決して他人事ではありません。
原油価格が上がれば、ガソリン代や電気代だけでなく、製品をつくるためのエネルギーや、物を運ぶための輸送費も上昇します。私たちが扱う建築資材も例外ではなく、世界の流通が混乱すれば、家づくりに関わるさまざまなものの価格にも影響が出てきおり、ご存知の通り、住宅の購入価格自体も高騰し続けています。
こういった話をすると、家づくりを考えている方から、よく聞かれる質問があります。
「家を買うなら、いつがいいですか?」
正直なところ、私たちの答えはいつも同じです。
「建てたいと思った今が、買い時です」
そう、上がった価格はそう簡単に下がることはないのが実状なんです。
待っていれば、家は安くなるのか?
もちろん、「今すぐ契約しましょう」と急かしたいわけではありません。家族の状況や資金計画を考えれば、家づくりを始めるタイミングは人それぞれです。十分に悩み、考え、納得したうえで決めていただきたいと思っています。
ただ、「もう少し待てば、家の値段が下がるかも知れない」という期待については、あまり明るいことを言えません。建築資材の価格だけでなく、人件費や物流費、エネルギーコストも上がっています。一時的に価格が落ち着くことはあったとしても、家づくりにかかる費用が以前の水準まで大きく戻るとは考えにくい状況です。
待てば安くなる見込みがあれば、私たちも「もう少し様子を見ましょう」とお伝えします。
でも、残念ながら、そうとは言えない。だからこそ、家族にとって家が必要になったとき、資金計画が整ったときが、その人にとっての「買い時」なのだと思います。
こんな時代だからこそ、「安い家」が選ばれる?
物価が上がり、毎月の光熱費や生活費まで増えていけば、誰だって出費には慎重になります。当然、家づくりでも「少しでも安く建てたい」「コスパのいい家を選びたい」と考える方が増えていくでしょう。
ただ、ここで少しだけ立ち止まって考えてみてほしいことがあります。家における「コスパ」とは、建てるときの値段だけで決まるものなのでしょうか。
私たちは以前のコラムで、家は「一生の買い物」ではなく、「一生続く買い物」だと書きました。
家は、完成した瞬間に支払いが終わる商品ではありません。暮らしはじめた後も、電気代や冷暖房費、設備の点検、修理、交換など、さまざまなお金がかかり続けます。
建築時の価格が少し安くても、毎月の光熱費が高く、設備の交換にも費用がかかるのであれば、長い目で見たときに本当に安いとは限りません。
目に見えやすい「最初の値段」だけでなく、建てた後に何十年も続く費用まで含めて考える。これからの家づくりでは、その視点がますます重要になると思っています。
設備でつくる省エネと、家そのものでつくる省エネ

省エネルギー住宅と聞くと、太陽光発電や高効率給湯器などを思い浮かべる方が多いかも知れません。
たとえばZEH(ゼッチ)は、建物の断熱性能を高め、省エネ設備を導入し、さらに太陽光発電などによってエネルギーをつくることで、年間のエネルギー収支をおおむねゼロにすることを目指す住宅。大きなメリットがありますが、一方で、設備には寿命という弱点もあります。長く暮らしていれば、いつかは点検や修理、交換が必要になる。高性能な設備を増やすほど、将来のメンテナンス対象も増えていきます。
こうした設備型の省エネ住宅に対して、タナカホームが取り組んできたパッシブハウスの家づくりは、設備に依存せず、家そのものの性能を徹底して高めるのが基本です。
高度な断熱性と気密性を確保し、窓や日射、熱の逃げ道まで細かく計算することで、そもそも冷暖房に必要なエネルギーをできる限り小さくする。たくさんのエネルギーを使い、設備で取り戻すのではなく、最初から使わなくて済む家をつくる。それが、パッシブハウスの基本的な考え方です。
クルマでは「燃費」を見るのに、家では見落とされてしまう

少し不思議に感じることがあります。クルマを選ぶとき、多くの人が燃費を確認しますよね。値段が多少高くても、ガソリン代や維持費を考えて、燃費のいいクルマやハイブリッド車を選ぶことは、今ではごく自然な選択になっています。
ところが家になると、「燃費のよさ=ランニングコスト」にお金をかけるという考え方をする人は多くありません。
クルマは十数年で乗り換えることが多いものですが、家はその何倍もの時間を使い続けます。それでも家の燃費より、キッチンや内装、目の前の建築価格のほうが注目されやすい。
もちろん、デザインや設備も大切です。毎日を楽しく過ごすためには、好きだと思える空間であることも欠かせません。
ただ、その土台にある家の性能は、暮らしはじめてから簡単に交換できるものではありません。壁の中の断熱材や窓の性能、気密性、熱橋への対策は、後から家電を買い替えるようには変えられないのです。
だからこそ、家づくりの最初に「この家は、どのくらいのエネルギーで暮らしていけるのか」を考えていただきたいと思っています。
家づくりは、これからの生涯コストを決めること
国際情勢やエネルギー価格が、これからどう動くのかを正確に予測することはできません。
ただ、ひとつ言えるのは、エネルギーをたくさん使わなければ暮らせない家ほど、社会情勢の影響を受けやすい。ということです。
反対に、そもそも必要とするエネルギーが少ない家であれば、電気代が上昇したときにも、その影響を比較的小さく抑えることができます。
家づくりは、建物を買うことだけではありません。
これから何十年と続く家族の光熱費や維持費、つまり生涯コストの大部分を決めることでもあります。
そして、家族が暮らす中で、どれだけのエネルギーを使い、どれだけの環境負荷を生み出すのかを決めることでもあります。
だからといって、家づくりをする方すべてに、大きな責任を背負ってほしいわけではありません。
我慢したり、暑さや寒さに耐えたりしなくても、快適に暮らしているだけで、使うエネルギーが少なくなる。結果として、毎月の負担も環境への負担も小さくなる。
そんな家を、無理なく選べるようにすることが、つくり手である私たちの役割だと思っています。
世界情勢が不安定で、さまざまなものの価格が上がっている今だからこそ、目の前の値段だけではなく、暮らしはじめた後にも目を向けてみてください。
パッシブハウスが本当にコストパフォーマンスのいい家なのか? 目先のコストだけでなく、その先のパフォーマンスにも目を向けた家づくりを、していただければと思います。